DTPと電子書籍



ご説明もうしあげます。


DTPと電子書籍

DTP とは「Desktop publishing」を略した言葉です。直訳すると卓上出版または机上出版という意味です。出版と言うからには、本に関係することかと思われますが、 この直訳では何のことかわからないと思い ます。実は印制に関係する比較的新しい言葉です。

DTP が登場する以前の印刷物制作の一連の流れは、原稿、企画、編集、デザイン、組版、版下、校正、製版、刷版、印刷、製本、加工、そして納品となります。これでもま だ大雑把な方で、さらに細分化することができます。

大きな印刷所であればこの一連の工程をーか所に持っていましたが、小さな町工場のような印刷所の場合は、分業され、それこそ工程ごとに小さな会社が存在していました。そしてその工程ごとに、それぞれ熟練の職人が関わっていました。

印刷所の営業担当は、原稿を受け取り納品までの全ての工程を熟知したうえでその管理をします。しかし、各工程に営業担当者は手出しすることができません。それぞれの工程では熟練の職人が作業をしているからです。それなのに前工程で作業不備があると、その工程の職人は前工程の職人に文句を言わず、工程管理をしている営業担当者が叱られます。営業担当者の指示や指定の不備が原因だというわけです。営業担当者がその会社の社長であったり、各工程の職人たちより上役であればすんなりと工程は進むかもしれま せん。ところが営業担当者は一般的に職人たちよりも下の役職であることが多く、ましてや新人だったりする と、なかなかに大変でした。

各工程を解説すると良いのですが、全てを語ると一冊の本ができてしまうくらいの内容ですので、ここでは省略させていただきます。

1990 年代から印刷業界にもパソコンの波が押し寄せてきました。工程のいたる所でパソコンが使われだし、それが更に進化すると、営業、企画、編集、デザイン、組版、版下、校正(校閲を含む)、製版、刷版、という一連の作業を一台のパソコンと一人のオペレーターでこなせるようになりました。そして、この一連の作業のことを「DTP」と言います。

DTP ができる、ということは、前述した各工程の内容の全てを職人並に理解して実践できる、ということと同義です。

あとは、残りの工 程である印刷、製本、加工を、印刷会社にまかせれば、紙の本や紙の印刷物の完成です。また、DTP 以降の残りの工程を電子化すると、電子書籍になります。


2020年吉日
富山竣就(編集長 / DTP 制作プロデューサー)


DTPオペレーター

机上パソコンを使用し、レイアウト、画像処理、ページデザインなどを行う。

(JOBNET by ManpowerGroupより)


🔸厚生労働省 職業情報サイト(日本版O-NET)>製版オペレーター、DTPオペレーター

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/359


金属活字

金属活字の四角柱はビレットと呼ばれることもある。活字を棚から原稿通りに拾っていく。

(Wikipedia「活字」より)


印刷のコンピューター化

朝日新聞の社屋が有楽町から築地へと移転したのは、僕が社会人になる少し前です。その新しい社屋の水道管を提供したのが、僕が就職した会社でした。

製鉄会社では建材部門が新しく、ステンレス製の水道管を開発しました。それまでは、水道管といえば亜鉛メッキを施した鉄管などが多く使われていました。ステンレス製の水道管は、強度もあり錆にも強いという優位性をもっています。

一方、朝日新聞では、築地の新社屋で新たにDTP※が導入されました。印刷の前段階をすべてコンピューターで行うというものです。1980年のことです。

ところが、築地に移転した途端、東京は大地震に見舞われ、その結果、丈夫なはずのステンレス製水道管が外れ、コンピューターは水浸しになってしまいました。

朝日新聞では急遽、印刷の職人さんを呼び戻し、有楽町の旧社屋で従来の印刷を再開し急場を凌ぎました。

その後、日本では徐々にDTPが普及し、印刷と製本の前段階をすべてコンピューターで行うようになりました。

ちなみに僕が子供のころは、印刷といえば「凸版印刷」が普通でした。小さな四角柱(ビレット)の先に活字が彫ってあり(上の写真参照)、それらを木枠に収めて紙面をつくり(この作業を「植字」という)、そこにインキを塗って、それを用紙に押し当て、印刷するという方法です。現在も「凸版印刷」という社名の会社があるのをご存じだと思います。

※DTPは、デスクトップパブリッシング


2021.12.18
正倉一文(事務局)